アトピー性皮膚炎は、以下の3つの要因が互いに関係しながら悪化を繰り返す「悪循環の病気」とされています:
- 皮膚のバリア機能の低下
- アレルギーによる炎症反応
- 強いかゆみ(掻破欲求)

また、アレルギー素因(花粉症・喘息・アトピー家系など)を持つ方に多く、皮膚からの異物侵入が起こりやすいため、日常的なスキンケアと体質の見直しが重要となります。
◆西洋医学でのアプローチと限界・よくあるお悩み
【主な治療法】
- ステロイド軟膏
- 免疫調整剤(タクロリムス、コレクチム)
- 抗アレルギー薬の内服
- 光線療法、デュピクセント®などの生物学的製剤(重症例)
【限界とよくあるお悩み】
- 薬をやめるとまた悪化する
- ステロイドに頼りすぎるのが不安
◆漢方内科でのアプローチ
アトピー性皮膚炎は、皮膚だけの病気ではなく、体質やストレス、内臓機能の乱れとも深く関係していると考えます。
漢方医学では、「気・血・水」のバランスの乱れや「肝・脾・肺」の機能低下を背景に、皮膚に熱や湿気(湿邪)がたまり、かゆみや炎症となって現れると捉えます。
◆症状を抑えるための治療
| 症状 | 処方例 |
| 皮膚の熱感・赤み・かゆみ | 黄連解毒湯、温清飲 |
| 炎症・化膿・掻き壊し・とびひ | 十味敗毒湯、消風散 |
| 発汗で悪化するタイプ | 越婢加朮湯、白虎加人参湯 |
| 乾燥と落屑が目立つタイプ | 当帰飲子 |
| ストレス・情緒不安定 | 柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散、加味逍遙散 |
◆体質から改善するための治療
| 改善したい体質 | 処方例 |
| 免疫バランスの調整 | 大柴胡湯、柴胡桂枝湯 |
| 不安やストレスの影響 | 抑肝散、加味逍遙散 |
| 胃腸機能の低下(便秘・下痢) | 防風通聖散、半夏瀉心湯、人参湯 |
| 乾燥体質・栄養不足 | 十全大補湯、荊芥連翹湯 |
| 血流不全 | 桃核承気湯、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散 |
◆ステロイドとのバランス・治療の選択肢
当院では、「ステロイドを完全に否定する」のではなく、必要な場面では西洋薬の力を借りつつ、徐々に漢方や生活改善にシフトしていくことを目指します。
たとえば、
- 急性増悪時は西洋薬中心に治療し、症状の安定後に漢方薬へ移行
- ステロイドが効きにくくなってきたときに漢方薬を併用
- ステロイド減量後のリバウンド予防に漢方を活用
というように、患者さん一人ひとりにとって無理のないバランスで治療を設計します。
◆セルフケアの重要性
日常生活の中で、皮膚を守るスキンケアも大切です:
- 洗いすぎや摩擦を避ける(ナイロンタオル・熱い湯は控える)
- 入浴後10分以内に保湿剤をたっぷり塗る(朝晩の2回が理想)
- 食事、睡眠、ストレスのコントロールも症状安定に寄与します
必要があれば、食事・生活習慣・睡眠・ストレスマネジメントに関するアドバイスも漢方的視点から行っています。
◆ 当院の統合的サポート(西洋医学 × 漢方 × 生活改善)
- 西洋医学的アプローチ:必要に応じてステロイドや免疫調整薬の継続・調整、血液検査や皮膚科連携も対応
- 漢方医学的アプローチ:体質・症状に応じたオーダーメイド処方で、体の内側からバランスを整える
- 生活改善・セルフケア支援:食事・睡眠・ストレス・スキンケアに関するアドバイスで、再発しにくい体づくりをサポート
◆こんな方におすすめです
- できるだけ薬に頼りきらない治療をしていきたい
- できるだけステロイドを減らしたい
- 体質から根本的に改善したい




